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現代社会を読み解くキーワードのひとつに、「多価値化社会」というものがあります。
これを経済分野に当て嵌めると、あらゆる局面で人々の価値観が相対化し、これまでのような消費構造が判然としない状況が見えてきます。
服飾業界においても、こうした時代の潮流は確実に迫りつつあります。その証左として、当社のマーケットである和装市場は市場規模が徐々に縮小しつつあり、洋装市場においても近年のファッショントレンドはますます混沌として多様化しつつあります。
しかしながら、こうした消費社会においても、過去の大量生産、大量消費時代の画一的消費者とは異なる新しい消費者イメージも確実に形成されつつあり、それはまた、多くの生活者が「本物の良さ」や「品質の確かさ」を希求し、それを受け入れることに投資を惜しまない消費性向として顕在化しつつあるのです。そしてこのことは、創業以来、本物の物づくりとブランド価値を追求しつつ企業努力を重ねてきた当社にとって、むしろ時代の好機とも言えるのです。
これからも時代は変遷し、企業の存在意義も変わっていくことでしょう。しかし、「不易流行」という言葉にもある通り、企業は変わるべきものと変わらざるものを評価するスタンダードを持ち続けなければなりません。
当社はこれからも「伝統工芸の総合力」「歴史を総括する想像力」「新技術を大胆に生かす創造力」という三つのマインドパワーを基本理念に、伝統と革新性が共存する京都から、本物を見極める美意識を発揚するべく不断の努力を傾けてまいります。
代表取締役社長 小 林 泰 尚
木村株式会社は次の経営方針を基本に、常に次代を見通しつつ、独自の商品開発に取り組み、美の追求という限りないテーマに挑戦しつづけています。
■ あらゆる染織技術を知り尽くし、それを生かせるデザインから製品化までをトータルにディレクトできるノウハウを培うこと
■ ブランド化することで、その名に恥じない創造と責任を自らに課し、たゆまぬ努力を続けること
■ 脈々と伝承する多くの文化の素晴しさを世に伝え、啓蒙すること